2011年5月31日火曜日

小さな変化

県保健事務所に限らず、
任地には水道というものがない。

雨季はまだしも、乾季には水が不足する。

そんな土地柄のせいか、
事務所内で水を使える場所が以前はなかった。

今回、ナイロビでの出張講座を終えて、
事務所に報告に行ったら・・・



手洗い用の水タンクが設置されていた。
これは、小さいけれども素晴らしい変化と言える。

以前はトイレの近くに手を洗う場所もなかった。
用を足した後で、手洗いをしないまま、
人々は握手をするのである・・・。

石鹸まで添えてあって、
手洗いの重要性を理解してくれているなら何より。


そして、もう一つ。



オフィス内に飲み水が設置された。
一度沸騰させたキレイな水だそうだ。

事務所や病院内で働くスタッフにとって、
水の確保は敷地外にペットボトルの水を買いに
行かなければならない事を意味し、
業務に支障をきたす原因になったけれど、
これなら、必要な時に水を飲める。

小さな変化だけれども、
そんな変化の積み重ねが大切だと実感する。

2011年5月30日月曜日

途上



首都から任地までの道が
この1年間で随分良くなった。

いつの間にか、
土の道からアスファルトで舗装された道路へ
その姿を大きく変えてしまった。

所要時間も短縮されて、
移動に伴う苦痛さも軽減されたと思う。


でも、この道は、
乾季には水場を探す動物達が姿を見せ、
雨季になって緑が増えたら草を食むキリン達が歩く
サバンナの真ん中を走る。

そんな野生動物の生活環境を
人間の都合で変えてしまいやしないか?

便利になる一方で、
失うものも多いのではないか?

手に入れたモノとの引き換えに、
犠牲にしたモノの価値に気がつくのは
きっと、随分先のことなんだと思う。

2011年5月28日土曜日

エイズ対策出張講座



同期の配属先である、
ゲタスル更生院にて。

訪問は2回目。
とは言っても、3ヶ月毎に子供達が入れ替わるので、
前回とは子供達の雰囲気も少し違う。

挨拶・自己紹介に続き、
子供達が毎朝歌っている歌があるというので
歌ってもらってお互いの緊張を解す。



WS 前の meeting で、
現在更生院内で問題になっていることとして、
子供同士の sodomy があげられ、
そのリスクについての言及は避けられないかなと。

・HIVとAIDSの違い
・感染経路
・感染予防

予定していたプログラムの中でも、
今回は感染経路に重点を置いて進行。

みんな真剣に集中して取り組んでくれて、
HIV/AIDSが他人事ではない・・・
ということを感じてくれたんじゃないかと思いたい。



午後からは、
大きな子のグループはパフォーマンス、
小さな子のグループはプライベートパートソングに
それぞれ分かれて練習。



自分の担当は小さい子達。
一生懸命歌って踊って・・・とても可愛い。



最後にそれぞれ発表。
大きい子達のグループに負けないくらい
元気いっぱいに発表できて、弾けるような笑顔。

大きい子達は自分達で
歌・ダンス・ドラマ・ポエムのどれかを考えて
少ない時間で練習して発表だったので、
大変だったかもしれないが、
みんな最後はうまくまとめていた。

改めてケニア人はパフォーマンスが上手だと思った。



今回のWSでは、同期だけでなく、
他の更生院の隊員も応援に来てくれた。

楽しい1日に感謝。

2011年5月27日金曜日

Eldoret

Eldoret と言えば・・・

・チーズ
・昨年の国民投票で荒れた地域
・ウガンダへの幹線道路沿い

そんな認識だった。
・・・あながち間違っていないはず。

今回新たに、
スーパーマーケットが乱立している街
という印象が加わった。

そんな Eldoret の中で唯一の観光スポット



欧州のNGOが一村一品のような形で、
涼しい気候を利用してチーズ工房を作ったらしい。

その成功例の工場。



地域住民も、牛乳やチーズの購入にやって来る。

地域の生活に根付いた工場にできたことが、
そのNGOの成功要因かと。



アイスクリームも販売されていて、
手頃なサイズと価格だったので試してみた。

本来はチーズの試食も出来るようだが、
お客さんで賑わっていたので見合わせた。
いつか機会があればと思う。

2011年5月26日木曜日

散策



原生林を歩くのは久しぶり。

濃い緑に包まれて
苔むした木々の間を抜けていく。



日本の森を彷彿とさせる何かを感じながら、
のんびり歩く・・・
それはなんて贅沢な時間だろう。



陽の当たる大きな道には
この時期、蝶達が飛び交っている。

色とりどりの蝶達に魅せられる。

2011年5月25日水曜日

friends in the forest

レッドテールモンキーの次郎。



野生のサルです。

最近慣れてきたのか、
友達認識が出来たのか、
怖がられなくなったような気が。

随分近くまで来てくれることも。



本当に様々な表情を見せてくれるので
見飽きることがないものです。

固体識別が出来ているのは
今のところ次郎だけ。



ですが、
あどけない表情を見せる
他のレッドテールモンキー達も
もちろん興味深いです。

2011年5月23日月曜日

深呼吸



鬱蒼とした森が、
気持ちを落ち着かせてくれます。

日本にいる時のような喧騒とは無縁の生活の中でも、
『静けさ』を必要としているものなのでしょうか。

2011年5月22日日曜日

Rongo 会

今年になって、Rongo に隊員が増えた。

2012年の大統領選に向け、
どんどん人員削減されているニャンザ州にとっても、
新隊員赴任は貴重。

それが同任地なのだから、身近なところに
日本人がいるというのは精神的にもありがたい。

とは言っても、相手は学校隊員なので、
平日は授業やら何やらと忙しいはず。
週末のランチを時々するくらい。

今回は隣の県に住む同期隊員にも声を掛けて、
一緒に weekend lunch を。

全員魚料理を選ぶ辺り、仲良しである。



旅行などの近況報告や、
ボランティア後のことなど、
3人人が集まると話しは尽きないものである。

ターム休みが終わり、学校の授業が再開したこともあって、
学校でのエイズ教育の機会を作って欲しい・・・
という、個人的なリクエストも。

無理のない程度に話しが進んでいくと良いなと思う。

2011年5月21日土曜日

化学実験



来週、同期の配属先である更生院で
ワークショップを企画している。

今回は『水の交換』というプログラムを組み込んだ。

これは HIV の感染を模擬体験させるもので、
エイズウイルスは人を選ばず、
誰もが感染する可能性を持っていることを認識し、
1人1人の予防行動が大切なのだというメッセージを含んでいる。

その為の準備をしていたが、
任地で入手した試薬がいまいち働いていない気がする。

これでは実験のインパクトも何もあったものではない。

若干残念な気持ちで、試薬の手配をナイロビ隊員に託した。
入手してくれることを切に願う。

2011年5月20日金曜日

後任要請を考える時期



後任要請希望調査書がやって来た。

・・・・・・・・・・・・・・
今回の募集時期は平成23年度秋募集
(24-1、24-2、24-3隊ですが、24-1については要請なし)
となります。
皆さんの活動期間満了と入れ替わるタイミングで
後任にあたるボランティアを派遣することが必要な場合もありますが、
ご存知のとおり、2012年の大統領選挙を鑑み、西部3州については、
平成22年度秋募集及び、平成23年度春募集で要請をあげていません。
今回要請をあげて確保できたとしても、
2012年9月(24年度2次隊)、2013年1月(24年度3次隊)となります。
また、先月本邦で発生した未曾有の大震災のため、
平成23年度春募集(19件要請済み)がどのようなになるか
現時点でわからないこと、
事業仕分けの影響でボランティア事業が問われており、
新規派遣については減となる見込みのところ、
配属先、ボランティア、当事務所の意向だけでは、
全く決定できない状況であることを理解した上で、検討ください。
配属先と後任要請を含めて、活動につい話し合う機会としてください。
もちろん、今回要請できない場合は、次の24年度春募集でも検討できます。
・・・・・・・・・・・・・・

現在の同僚達は、ボランティアへの理解もあり、
仕事をしていく上で、頼れるパートナー達だと思う。

ただ、活動的なNGOもいる現状で、
JICAボランティアに出来ること・・・・
後任を必要としてまですることってあるだろうか。

個人的には後任ではなくて、
新規で要請したい職種がないわけでもない。

ニャンザ州は大統領選を挟む数ヶ月、
ボランティア派遣がなされないことを考慮すると、
離任後、1年近く派遣が途切れることも事実。

後から来る(かもしれない)隊員に、
気持ちよく活動してもらえる環境を作り、残せるか。

そろそろ離任後の事も考えながら、
今後を過す時期なのだと実感する。

5S

5S と言われてピンと来るだろうか?

整理  Tidiness
整頓  Orderliness
清掃  Cleanlinss
清潔  Standerdization
躾    Discipline

の日本語の頭文字を取って、5S なのである。


日本では、
本当にごく当たり前のことのように行われていることだが、
日本以外の国ではなかなか周知されていない。

ところが、である。

県病院に入っているNGOの1つ、FACES の、
患者カルテ管理部門の女の子達は
きちんと管理整頓させている。



カルテナンバー順に並べられ、
治療脱落した患者も把握しているとのこと。

きちんとできる人もいるんだと、
なんだか嬉しくなった。



新しいキャビネットが導入されていることから、
PSC 建設に併せて、データ管理にも力を入れることにしたのだと
勝手に解釈しているけれど・・・。

何よりも、
カルテ置き場が綺麗になったと大騒ぎする私に
女の子達が喜んでいろいろ開けて見せてくれたのが印象的。

単調で根気の要る仕事だからこそ、
みんなに出来栄えを知らせたいと思う。

2011年5月19日木曜日

研ぐ



我家のアスカリ(警備員)が朝から

シャリ・・・シャリ・・・

と刃物を研いでいた。



近づいてみたら「パンガ」だった。



草刈に使用する鉈のようなもので、
大抵のケニア人は、パンガで草刈も剪定もする。

ただ、パンガは先の大統領選の暴動の時に
凶器として使われた経緯もあって、
個人的には、あまり身近にあって欲しくないものの1つ。

ケニアから失くすわけにはいかないモノであろうが、
今後も平和的な使用に限定して欲しいと、強く願う。

Performance Review Meeting



月1回の meetig 。

この meeting 期間中も含まれますが、
Malezi Bora week なのだそうです。

詳しくは説明して貰えませんでしたが、
どうやら予防接種強化月間のような感じ。



各 facility の抱える問題や困難な課題などを
県のHealth management team と共有し解決策を図る・・・
というのが Performance Review の趣旨ではありますが、
実際は解決策まで辿り着けず、言い訳で終わってしまっています。

それは予防接種に関しても。

県で収集したデータで、
ワクチン摂取率が100%を大幅に超える facility があったり、
逆に0%の所があったり・・・

データの信憑性も眉唾モノですが、
ワクチンの保存方法や在庫の確認、
その他、いろいろな問題が出るわ出るわ。

興奮すると、みんなスワヒリ語になってしまうので、
途中から話題を追えなくなってしまったのですが、
白熱していたと言えましょう。



不満ばかりをぶつける場ではなく、
建設的な意見の交換が出来るようになると、
もう少し meeting の意義も変わってくるように思いますが、
みんな自己主張が強いので、なかなか難しそうです。


水道などのライフラインが整っていないケニアでも、
写真の通り、県保健事務所にはプロジェクターはあるし、
オフィサーは1人1台ノートパソコンを持ってます。
(もちろん自腹ではなく、どこかからの支援で)

コミュニティーやルーラルエリアの何もない具合と比べても、
物資の行渡り具合の差を本当に感じるものです。

必要としている人の所に、
必要なものが本当に届いているのか・・・・

2011年5月18日水曜日

頂き物



お座敷でよくご一緒頂いた方が
送ってくださった。

桜ほころぶ京都の春の風物詩:都をどり

ケニアには先月末には届いていたようだが、
なかなかゆっくり見る余裕がなかった。

ページをめくると、
懐かしい顔ぶれが並んでいて嬉しくなる。

日本は新緑の美しい頃であろうか。

2011年5月17日火曜日

無造作

DASCOのオフィスに積まれてるダンボールの山。

あまりにも無造作に放置されていたので、
無意識に視界に入れていなかった。

今日たまたま近くを通過した時に、
箱が空いていたことに気がついた。

何が入っているのかと覗いてみると
なんと医薬品。



それも、HIV陽性の患者さんが服用する薬である。

こんな杜撰な管理状況で良いわけがない・・・が、
肝心のDASCOは meeting に次ぐ meeting で
この状況を把握しているかも分からない。

援助物資が至る所から入ってくるため、
援助慣れしてしまっているケニア人は
貰い物を大事にしない。

それは、医薬品とて例外ではない。
HIV関連の医薬品は全て無料で配布されている。

まだ使用期限内にも関わらず、
このような取り扱いをしていることに
腹立たしさを感じながらも無人のオフィスを出て薬剤部へ。



投薬する部屋の隣で薬詰めの最中の2人。

この国での薬剤管理や在庫管理は本当に困難で、
医療スタッフ内での横流しなんかも多々ある。

「最近薬剤部を避けてる?
 全然ここにいないじゃない・・・」

なんて言われてしまったが、
問題が沢山見えてしまう分、居心地が良くないのも確か。
遠出しっぱなしで、病院にいなかったのも一因だけれども。

2011年5月16日月曜日

PSC 建設中

県病院の一角で工事が行われている。

それも以前、PSC用にテントが立てられていた場所に。
(PSC:Patient Support Center)



テントのあった場所に、
きちんとした建物を作ることになったそうだ。

県の方針がMCH だけでなく、
PLWHA にも目を向けられたことは
喜ぶべきことだと思った。

3~5ヶ月で建物が出来上がるそうだ。

2011年5月13日金曜日

任地に戻る

イースター休暇に入る前、
県の年間データをまとめてグラフにして、
カラーでプリントアウトして同僚のDASCOに渡しておいた。

ちなみに、配属先にはカラープリンタはない。
DASCOのオフィスにはプリンターさえない。

任地に戻ってから、
あのグラフデータ達がどうなったことかと
オフィスを除いたところ、
掲示板一面に張り出ししてくれていた。



横にはJICAから支給されたポスターも。

出張でしばらくDASCOは任地にいないようだが、
カラープリントされたデータを
こんなにキレイに張り出したところをみると、
喜んだに違いない・・・。

形になる活動はなかなかないけれど、
こういったデータ管理補助も時にはしていかないと。

2011年5月9日月曜日

Mudanda Rock



Tsavo East の中に
溶岩で出来た1枚岩の場所がある。

National park の中でも、
歩いて構わない場所で、早速登ってみる。



乾季になると象達を惹きつけるその場所は
オーストラリアの Ayers Rock を想わせるらしい。

日本人のアーティストで、
ここでPV撮影をした人もいるとかいないとか・・・



空の青さと、
赤い土、赤い岩。

写真を撮ったり、歌ったり、踊ったり・・・
多分、このNational Park で
我々が一番盛り上がった場所である。

痺れを切らしたドライバーに
「そろそろ戻らないとバスの時間に遅れるよ」
と、言われてしまった。






それにしても、
とても不思議な風景だった。

2011年5月8日日曜日

Tsavo east national park



Tsavo には西と東に国立公園がある。
2つの国立公園を合わせた面積は 21000 sq km。
これは四国(18300 sq km)よりも大きい。



Taita からの帰り、
通り道にあることもあって立ち寄ることに。

最初に出会ったのは、クドゥ。
背中の模様が不思議。



Tsavo の目玉は象。
それも、赤土を体にまぶすので、
『ピンクの象』と呼ばれている。



また、park 内のロッジで、水飲み場を作って
集まってくる野生動物を間近で見えるよう
工夫をしている所もった。



本当に沢山の象を目撃したが、
景色だけを見ていても飽きることはないくらい
様々な表情を見せてくれる national park だった。



食事を終えて昼寝中のメスライオン。



Tsavo ではライオンとの遭遇率はそれほど高くなく、
ライオンを見れたのは珍しいことだとドライバーが教えてくれた。

2011年5月7日土曜日

CHW training



CHW の為のトレーニング。
この日のお題は Disable people 。

ケニアでも障害を持った方は沢山いて、
それは精神的なものだったり、身体的なものだったり。

個人的には Deaf の方々の学校や孤児院に行くことがあったが
ニャンザだけでなくケニア全体でもなんらかの障害をもった
人達が沢山いることが分かった。

トレーニングが始まる前に、
コミュニティー戦略の隊員から CHW への
簡単な質問コーナーが設けられ、
大きな円を作って賑わっていた。


トレーニングは県の医療従事者から講義形式で行われ、
参加者の中には、後半疲れが出ている人も。



この日は4日間の講義の最終日ということもあって、
学んだ事を自分達で表現して再認識させる為、
内容の要約やドラマの披露があった。





一方的な講義だけでなく、
自分の言葉で表現することは
理解を深めるし、他者へ説明する時に役立つ。

何より、参加者が楽しんで取り組めるプログラムである。

エイズや結核の予防の為に、
CHW が作った歌なども披露され、
大盛り上がりでトレーニングを終えた。


今後、自分達が主催するWSでも、
参加者が楽しめる工夫を出来たらと思った。

2011年5月6日金曜日

Dispensary 訪問

タイタ県の全ての Dispensary が、
今回訪問した施設のようかどうかは分からない。

が、驚いたのは、
施設内の整理整頓清掃が行き届いていること。


また、入院病棟にしても
光彩がきちんと入るように工夫されていて、
明るく閉塞感のない部屋なこと。



清潔で明るい病室なら患者さんも
「入院したい・・・」
「出産したい・・・」
と思うに違いない。


Notice Board も活用されていて、
今この Dispensary でどのくらいの人口をカバーしているのか、
何人 CHW がいるのか、
予防接種を何人受けたのか・・・等々
一目瞭然で分かるようになっている。





ロンゴにもあるのかもしれないが、
今まで見たこともないのか、
気がつかなかっただけなのか、
任地に帰ったら検証したいと思った。

住民が自分達の健康状況を知る手がかりが
こんな風に表示されているのは大切なことだと思う。



Dispensary 内も余分なものがなく整理されている。

CHW 達が医療スタッフと一緒に
Dispensary 内の清掃を定期的にしているのだそうだ。



コミュニティーと医療機関の連携が
うまく取れているからこそなのではないかと思う。